Adagioな日々

ワインづくり奮闘記 そしてときどきピアノ

どうする 亜硫酸

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平均気温: 15.1℃ 日照時間:543分 (原村アメダス

今日から千曲川ワインアカデミーの講義は醸造モードに突入。まだまだブドウ栽培について知らないことだらけの私は落ちこぼれ感満載ですが、少しずつ追いついていけるように頑張ります。

さて、今日の講義の中で亜硫酸のことを勉強しました。普通にワインを買うとどのワインにも入っている酸化防止剤のことです。しかし、近年、健康志向の高まりで亜硫酸未使用のワインというのも出てきました。つまり、亜硫酸は体に悪いということ?普通に亜硫酸入りのワインをこれまで飲んできちゃったけど大丈夫?ということで、そもそも亜硫酸は何が悪いのかを調べてみました。

ネットで検索すると色々なことが書かれています。
ぜんそくの原因になる
・頭痛の原因になる
・体内の消化にかかわるバクテリアを遮断する働きがある
・肝臓の働きを悪くする
など。人によっては敏感に感じるようですが、多くの人は支障なく食しています。また、ワインに入っているだけでなく、ドライフルーツや納豆、豆腐などにも入っているケースがあるのだとか。広く食品の保存料とか漂白剤として使われているそうです。

亜硫酸を添加するかどうかを考えるとき、自分が自然派ワインを造ることを目指すのか否かを考える必要があります。また、そもそも原料であるブドウを有機栽培で作るのか否かも考える必要があります。今日の講義は改めて亜硫酸を使うかどうかを考えるきっかけとなりました。

家に帰って本棚を見るとアルノ・イメレ著『亜硫酸を使わないすばらしいワイン造り』という本がありました。この本のカバーの裏にこんなことが書かれています。

亜硫酸にしろボルドー液にしろ、健全なブドウを育て良いワインをつくる必要性からワインづくりを支えてきたのである。しかし、優れた働きをする薬も使用法を誤れば毒薬となり、毒もきちんと利用すれば良薬となる。正しく用いればワインを長期にわたり健康に保ち、使い方を誤ればアロマを台無しにして人の健康すらも害する毒となる。ワインにとって亜硫酸は守護天使か悪魔か。答えは醸造家の手にかかっている。

なるほど。訳者のまえがきにもこんな気になる一言が

新規の醸造家の中には理想を追うあまり技術力が伴わないにもかかわらず野生酵母にこだわり亜硫酸も使わずに欠陥ワインをつくり、これが「俺のワインの味だ」と納得しているという悲しい例もある。

厳しい!けど、確かにこれまでイメージだけで亜硫酸は体に良くないから使いたくないと思っていて、私が知識もないままに亜硫酸を使わないでワインを造ったら、まさにこの状況に陥ったかもしれないです。ひと先ずこの本を読んで本当に亜硫酸を使わないで自分によいワインが造れるかを考えてみようと思いました。

また、自然派ワインを造るということは、単に亜硫酸を使わないだけではありません。自然派ワインにも色々なレベルのワイン(定義)があるので一概には言えませんが、より厳格に自然派ワインを造るのであれば、有機栽培、はたまた畑作りをすることから始まります。いくつかの本を読んでみると日本の有機栽培の基準はかなり緩く、様々な農薬の使用が認められていますが、ヨーロッパの自然派ワインの基準で認められているのはボルドー液と硫黄のみのようです(ビオディナミの場合はまた別の基準があります)。さらに酵母は野生酵母を使用し、市販されている酵母は使用しないで、亜硫酸はもちろん、その他一切の添加物を入れないで醸造されます。我が家にあったもう1冊の本イザベル・レジュロンMW著『自然派ワイン入門』の帯には「『何も足さない、何も引かない』―簡単そうに聞こえるが、それは大きなリスクを背負い、時に大変な労力をも必要とするということなのだ」と書かれています。こちらの本も併せて読んで、栽培方法や添加物を入れるか入れないか、入れるならどこまでを許容するかを考える材料にしたいと思います。