Adagioな日々

ワインづくり奮闘記 そしてときどきピアノ

すばらしいワインを造る条件

本日の気象データ
天気:曇り時々雨、夕方以降雨 降水量:5.5 mm 最低気温:16.1℃ 
最高気温:22.4℃  平均気温: 18.5℃ 日照時間:0分 (原村アメダス

今日の作業は引き続き誘引したり、わき芽を落としたり…。午前中は来客がありました。また夕方からは八ヶ岳西麓ワインバレーの生産者の初会合に、まだ圃場もないのに参加して、オブザーバーのつもりで参加したのについつい発言までしてしまいました💦

さて、昨日に引き続き、アルノ・イメレ著『亜硫酸を使わないすばらしいワイン造り』を参考に、すばらしいワイン造りについて検討してみたいと思います。

醸造プロセスの話に進む前に、「すばらしいワイン、健康なワイン」をつくる条件として著者が挙げていることを引用します。

最も大事なのは、ブドウの成熟の質である。ついで収穫したブドウの質のポテンシャルを維持するための醸造における心遣い、その次が亜硫酸、マイコトキシン、ヒスタミンがないことである。

マイコトキシンとは、ブドウに付着しているカビ菌から生成される物質で人体にあまりよくない影響を与えるのだとか(潜在的ながんの原因物質になるとの記述も)。特に収穫前に雨が降ることが多い日本では注意が必要です。収穫前に過剰に雨が降ると、果汁を薄めるだけでなく、果実が割れて糸状菌が繁殖します。見た目で明らかにカビが生えているとわからなくても、菌が繁殖してしまうと絞った果汁中にマイコトキシンが含まれてしまうので、醸造前の選果は徹底しなければなりません。

ヒスタミンは、乳酸菌によってつくられるそうです。特に自生の細菌叢を使ってマロラクティック発酵を行うと生成されるとのこと。

この本、自然派ワイン造りを目指す人間にとっては厳しいことがたくさん書かれていて、どういう点に注意し、丁寧なブドウ栽培や醸造管理を行えばいいのかを考えるうえで参考になります。たとえば、

いい加減に管理された草生栽培でも、負荷に対し弱すぎる樹勢、あるいはまた水不足のストレスがあったとしても、腐敗のない美しいブドウをつくるかもしれないし、可能アルコール度数も良い値を示すかもしれない。しかしながら、それらのブドウからつくられたワインは確実性や上質のアロマを欠くことになり受け入れ難いものとなるだろう。ポリフェノールやミネラル類の欠如は、アルコールや亜硫酸の毒性の影響を相殺することができない。

上質のアロマを欠くという点については、こんな記述もありました。要約すると「樹勢が少し強すぎるブドウ樹の腐敗病を減らすために、窒素と結合するイネ科の植物を植えて草生栽培をすると効果があった。葉や枝、ブドウ果実も非常に好ましく成長したけれど、このブドウから造られたワインは青臭い草の香りの特徴があり、好ましくなかった」というもの。青臭い匂いが好きな人もいるかもしれないけれど、やっぱりブドウ品種本来の味が引き出せていないのは、上質のアロマを欠くという評価になるのでしょう。

著者は、亜硫酸以外の醸造添加物については肯定的な意見を持っています。

世間に広まっている意見とは反対に、酵母や乳酸菌、木炭、炭酸カルシウムの添加、さらにアラビアゴムはワインの食品としての品質という面ではむしろポジティブな影響を持っているといえるだろう。

テロワールを表現するという観点から、自然酵母を使って醸造しようと考えていますが、選果基準をどこまで厳しくするか、どこまでの介入をするか(濾過や清澄をするかしないか)、あるいは少量の亜硫酸以外に何を添加するか、添加しないのかという点について、もう少し検討が必要だと改めて感じました。