Adagioな日々

ワインづくり奮闘記 そしてときどきピアノ

亜硫酸を使わないワインの醸造(1)プレリュード

本日の気象データ
天気:曇り時々雨 降水量:1.5 mm 最低気温:15.8℃ 最高気温:19.3℃ 
平均気温: 17.3℃ 日照時間:0分 (原村アメダス

今日、早朝雨が降った後、8時ごろには雨が止んでいたので、いつものように誘引作業をし、少しツルをハサミで落とす作業をし始めたものの、10時半ごろから雨が降り始めたので中断。午後は別の畑でブドウ樹の根元の草刈りをし、早めに作業終了。相変わらずカマで草刈りをするのは得意ではないです。というのも、刃がブドウ樹にあたるのではないかと思うと遠慮がちにしか刃を動かすことができないのです。そのうち、コツをつかむのでしょうか…。

昨日は少し雑記的な話を書きましたが、今日はその延長で健全なワインを造るためにどうしたらいいかを考えたいと思います。先日ご紹介したアルノ・イメレ著『亜硫酸を使わないすばらしいワイン造り』を主に参考にしています。あれ?もう亜硫酸使うことにしたんじゃなかったっけ?という声が聞こえてきそうです。ごく少量の使用を検討していますが、この本の訳者まえがきには、いくつか興味深い言葉が並んでいます。

カビ臭や動物臭がするのが「自然派ワイン」ではない。それはただの欠陥ワインである。

やっぱりそうだよね…。

まずはすべての工程を洗い直したうえで、亜硫酸を使わずに健全なワインをつくるにはどうすればよいかを考え、道を逸れたときの対応も考慮に入れたうえで実行されなければならない。その根底にあるのはワインの味覚、官能面の品質同様に、消費者への健康面への配慮である。それが達成できて初めて革新的なすばらしいワインとなる。

やっぱりどんなリスクがあるかを知って、対応策を検討しておかないとダメだよね。

(前略)亜硫酸を使う醸造家にとっても健全なワインをつくるための様々なアイデアを本書が教えてくれる(後略)

亜硫酸を少量使うにしても、良いワインを造るためには参考になりそうです。しかも白ワインの醸造については、ブドウのタイプ(テルペン・タイプ、ソーヴィニヨン・タイプ、シャルドネ・タイプ)ごとに手順が書かれているという優れもの。これはじっくり読まねば、ということで今後数回にわたってこの本の中で自分の関心のあるところを部分的にご紹介しつつ、どういうワインを造るかを検討していきたいと思います。ただ、あくまでも部分的なご紹介なので、ご関心ある方はぜひ、実際にこの本を手に取って読まれることをお勧めします。

というわけで、今日はプレリュード。まずは搾汁機について考えてみます。

醸造設備はどんどん進化しています。でも、ワインの醸造でイメージする搾汁機と言えばこれじゃないですか?

楽天市場より

木製の垂直式搾汁機(バスケットプレス)と呼ばれるもので、シャンパーニュでよく使われているものです(実際にはこんな小さなものではなくて巨大なバスケットプレスが使われています)。日本のワイナリーに行って醸造設備を見せてもらうと、インテリアの一部としてこのタイプのバスケットプレスがショップやレストランに置かれていることはあります。でも、実際に醸造で使われているのはステンレス製の水平式搾汁機であることが多いです。ヨーロッパでも最近の主流は水平式搾汁機だそうです。ただ、『亜硫酸を使わないすばらしいワイン造り』によれば、垂直式搾汁機は白ワインにとって利点があると書かれています。

果汁は搾りかすの層を通ることで自然に濾され、かなり澄んだ状態になる。同時に、果汁の長い道のりと長時間にわたり圧力下に置くことで、ブドウをすりつぶすようなこともなく効果的にブドウのアロマ成分が抽出される。よくバランスが取れ十分なほど澄んだ、ステロール豊かで香りの前駆体やフェノール化合物に恵まれた果汁を得ることができる。

水平式搾汁機の場合は、過剰な澱が入るので、デブルバージュ(清澄)が必要になります。デブルバージュすると今度は果汁が澄みすぎてしまうことも。加減が非常に難しいので、上手にデブルバージュできるかどうかがワインの品質に大きく影響しそうです。また、果汁が澄みすぎてしまうと自然酵母だと発酵がうまく進まないケースがあるので、培養酵母を添加する方が安心…。

なるほど、醸造設備はその後の醸造工程やどういうものを添加するかといったことにも影響するのか…。一方で、酸化のリスクについてはどうなるのだろうかという疑問が残ります。特に白ワインの場合は、極力酸化させないように醸造するものじゃないのかな…。もう少しこの本を読み進めてみないと、どんな設備にするかの結論はでなそうです。

ちなみに、プレス(圧搾/搾汁)のプロセスについては、このサイトに興味深いことがたくさん書かれています。

firadis.net