Adagioな日々

ワインづくり奮闘記 そしてときどきピアノ

自然派ワインはまずい?

本日の気象データ
天気:雨のち曇り 降水量:15.5 mm 最低気温:15.1℃ 最高気温:18.4℃ 
平均気温: 16.7℃ 日照時間:0分 (原村アメダス

今日の千曲川ワインアカデミーの講義は、ワインの香りを感じるしくみについてでした。様々な角度から匂い/香りについて説明がありました。テイスティング醸造に応用できるだけでなく、どんなワインを造りたいかを考えるうえでも参考になりました。香りやテイスティングについても、追々復習を兼ねて書きたいと思います。

ところで、今日の休憩中に同期の受講生とこんな雑談をしました。

「先日、自然派ワインの専門店で勧められたフランス・ラングドックの自然派ワインを買って飲んだんだけど、とんでもなく臭くて、まずくて飲めたもんじゃなかったのよ」

私は何度かラングドックのワインを飲んだことがありますが、それが自然派なのかどうかは知らずに飲んだものの、あまり美味しいワインに出会ったことがありません。きっと安いワインを買ってるからだと思っていました。絶対によい生産者はいるはずなので、ラングドック=まずいと言っているのではありませんが、この友人もラングドックのワインで美味しいワインにはまだ出会っていないと言います。

友人曰く、ラングドックは自然派ワインをたくさん生産していることで有名なのだそうです。ENOTECAのホームページでも、

有機栽培が多い土地としても知られており、フランスの有機栽培の1/3、世界の有機ブドウ畑の7%がこの土地に集まっています。

と紹介されています(有機栽培=自然派ワインではないけれど)。私はこれまで、ラングドックは少し暖かいから、最近の気候変動の影響を受けて、美味しいワインができなくなっているのかもしれないと思っていました。しかし、それと「臭くてまずい」というのはちょっと違うので、

「それ、瓶の中で劣化しちゃったんじゃないの?」

と聞くと、

「信頼できる自然派ワインのお店だから、変なワインは売ってないと思うし、保管状況も悪くないはずで、すぐに飲んだから劣化じゃないと思う…」

と。亜硫酸を使っていなければやっぱり酸化しやすいし、何も添加せず濾過もしなければ、ワインの中に残っている微生物が、残糖を餌にして瓶内で育って、悪さをするリスクもあります。瓶詰したときにはよい香りで美味しかったかもしれないけれど、お客さんが飲むまでにどういう輸送・保管がされるかなどによってもワインの状態が変わります。つまり、作り手側は、自分のワインが飲み手に臭い・まずいと思われているとは思っていない場合もあるということです。

もちろん、添加物が入ったワインでも劣化はするけれど、天然酵母無添加、無濾過であれば、そのリスクはずっと高まりますし、場合によっては発酵途中でのトラブルが、不快な臭いなどになって現れることもあります。自然派ワインがまずいという印象を多くの飲み手が持ってしまうと、自然派ワイン=下級品みたいな位置づけになってしまうので、まじめにきっちりと造られた美味しい自然派ワインまで、世の中で評価される機会を失うことになります。

この話をしていて、昔働いていた職場の飲み会で、将来ワインを造りたいなぁと話したとき、上司が「俺は体に悪くても(添加物が入っていても)美味しいワインが飲みたい」と言ったのを思い出しました。確かに美味しくなければ意味がない。今回の雑談を経て、醸造、瓶詰に至る過程でのリスクとその回避方法/リカバリー方法について一度調べて整理しないとなぁと思いました。なんだか考えることや整理することがどんどんたまるばかりで、なかなかクリアになっていきませんが、自分のワインを造るまでにはなんとかクリアしたいと思ってます。