Adagioな日々

ワインづくり奮闘記 そしてときどきピアノ

自然派ワイン

本日の気象データ
天気:晴れ時々曇り 降水量:0.0 mm 最低気温:8.8℃ 最高気温:23.9℃ 
平均気温: 16.5℃ 日照時間:505分 (原村アメダス

今日の作業は3年目以降のブドウ樹の誘引と余計な花穂、ツルなどを落とす作業。2年目のブドウ樹の芽かき。

さて、昨日から急に亜硫酸を使うかどうかに関心が向いたので(というか、講義を受ける前は亜硫酸は使わないでしょ、と思ってました)、まずは自然派ワインについて、昨日ご紹介した『自然派ワイン入門』という本を読み始めました。昨日の記事はこちら。

pooh-chan-51.hatenablog.com

この本の最初の方に「自然派ワインは存在しない!?」という項があります。自然派ワインの法的な定義が存在しないので、色々な栽培方法、製造方法のワインが「自然派ワイン」と銘打って売られているということです。他にもネット上に色々な「自然派ワインの定義」らしきものがありました。確かにこれといった明確な定義はないのですが、いわゆる「自然派ワイン」と呼ばれているものがどういうものなのか、いくつかの段階があるということがわかりました。

栽培方法については、
① 無農薬又は有機農法で栽培されている
② 減農薬農法で栽培されている
➂ ビオディナミ農法で栽培されている
という3つに分類されているようです。減農薬と有機農法はいずれも化学肥料や除草剤は使用していないものの、農薬を最小限の使用にとどめる(減農薬農法)か有機農薬として認められているものだけを使うか(有機農法)という違いがあります。ビオディナミ農法とは、ルドルフ・シュタイナーが提唱した農法です。天体や宇宙のリズムに沿ったビオディナミ・カレンダーに基づいて農作業をし、漢方薬のような特殊な調合剤を使用して栽培します。このうち無農薬・有機栽培とビオディナミはヨーロッパでは有機ワインと呼ぶことが許され、減農薬農法で栽培されたブドウを使用したワインは減農薬ワインと呼ばれます。

製造方法については、
① 酸化防止剤(亜硫酸)は(瓶詰時に)少量だけ使用する、または無添加
② 培養酵母は使用せず、天然酵母を使用
➂ 無濾過・無清澄
と製造過程でどこまで介入するかに段階があります。意外だったのは亜硫酸の使用に関しては完全否定がされていないということです。『自然派ワイン入門』によれば、伝統的に樽の洗浄や瓶詰めの際に少量だけ亜硫酸を使ってきたので、これは許容範囲のようなのです。自然派ワインの生産者ですら、亜硫酸がないときちんとしたワインがつくれないと考えている、つまりやはりワインは劣化しやすく、劣化したワインはまずいと考えているということだと理解しました。

また、EU有機ワインの定義では保存料や製造のための添加物として50種類あまりが認められています。自然派ワインの生産者は少量の亜硫酸は許容するけれど、培養酵母やその他の添加物は認めないというのが一般的なようです。つまり有機ワイン=自然派ワインではないということです。

濾過や清澄についてはワインのストラクチャーを変えてしまうのでしないという生産者もいるし、許容する生産者もいるという感じで、介入の度合いに濃淡があります。濾過や清澄はやりすぎると味の複雑さがなくなるので、どこまでやるかは自然派ワインの生産者でなくても議論があるところかもしれません。

ざっくりまとめると、自然派ワインとは、有機農法で栽培されたワインを使い、天然酵母を使用し、少量の亜硫酸以外の添加物は使用しないワイン、より厳密なケースでは、加えて濾過や清澄もしないワインと言えそうです。

というわけで、昨日の「どうする 亜硫酸」の回答が早速出ました。自然派ワインの製造を目指すとしても、少量の亜硫酸は許容範囲だということがわかったので、少量だけ使用する方向で考えたいと思います。むしろ、天然酵母を使うか、培養酵母を使うか、その他の添加物を使用するかどうかの方が自然派と呼べるかどうかの分かれ目なので、これらを検討しなければならないですね。