Adagioな日々

ワインづくり奮闘記 そしてときどきピアノ

畑候補地探し① ヴィンヤードに適した土地とは

本日の気象データ
天気:晴れ 降水量:0.0 mm 最低気温:14.5℃ 最高気温:26.3℃ 
平均気温: 19.3℃ 日照時間:702分 (原村アメダス

新規就農者かつ移住者にとって「農地を手に入れる(購入ばかりでなく、借りるケースにおいても)」ことは、何よりも難しいと言われています。その後の農業生活の中で多くの困難に遭遇すると思われるにもかかわらず…。その真偽のほどはわかりませんが、実際、最初の畑を見つけるのに苦労している(苦労した)新規就農・移住者はたくさんいます。

一方で、地方では耕作放棄地が大きな問題だと言われています。原村は、一見すると非常にきれいな田んぼや畑が広がっていて、耕作放棄地がないように見えるのですが(少なくとも荒地はほとんどない)、色々な人に聞いてみると全くないわけでもなさそうです。そう言われてみると、この時期、田植えが始まっているのに何もされていない田んぼがあったり、耕していない畑があったり…。少し近所を散歩してみると、何も植わっていないのは、多くの場合、田んぼであることがわかりました。現在畑になっているところも、もともと田んぼだったような形をしているところがあります。

そこで、ブドウに適した土地とは何なのか。今日はまずそれを考えてみたいと思います。

日本ブドウ・ワイン学会監修『醸造用ブドウ栽培の手引き』によれば、日本国内の果樹栽培適地の目安として、生育期間(4月~10月)の降水量が1200mm以下、気温が14℃以上、冬季にマイナス15℃以下にならないことという基準があります。原村の場合、1991年~2020年の平均で生育期間降水量955.1mm、同平均気温15.9℃、冬季にマイナス15℃以下になる日はあるものの、3日以上続く日はあまりなく、最も気温が低い1月の平均最低気温はマイナス8.1℃となっています(気象庁データ)。概ねこの基準はクリアしています。なので国内基準に照らせば、気候的には適地と言えます。なお、何冊か別の本のページをめくってみると、醸造用ブドウ栽培で最も重要なのは温度と書かれています。ブドウ樹は地温(気温ではない)が10℃以上になると活動(同化と蒸散)を始めます。しかし、28℃以上になると水分の蒸発が同化を上回ってしまい、湿度のあるところであっても成長がゆっくり停止するとありました。

また、日照時間について国内の果樹栽培適地の基準には書かれていませんが、ブドウ栽培にとってはとても重要な要素です。特に開花から果実の着色期、成熟の時期に十分な日照を確保する必要があり、この時期に日照時間が不足すると、花ぶるい、着色不良、成熟不良を招くことになります。また、日照時間が多いということは気温が高くなり、雨も少ないということになるので、病虫害の被害が少なくなります。生育期間中の日照時間は、最低1250~1500時間必要と言われています。ただ、理想的な日照時間は1500時間~2000時間と言われています(関根彰著『ワイン造りのはなし 栽培と醸造』)。

ちなみに原村における生育期間中の日照時間は1272.9時間。理想的な日照時間には届きませんが、なんとか最低必要な日照時間はクリアしています。ヨーロッパのように緯度が高くもなく、雨も降る日本では日照時間は長いほうですが、やはりヨーロッパや地中海気候の地域と比べてしまうとかなり厳しいのがわかります。少しでも日照時間を確保するためには、なるべく日当たりのよい土地を探す必要があります。原村の場合、八ヶ岳が東側にあるため朝日が差し込むのが遅く、西側に少し開けているので夕日が長く当たります。なので、畑の立地としては西日がよく当たるところが良さそうです。また、世界の銘醸地と比べ雨が多いので、水はけのよい斜面かつ元田んぼではないところ(できれば荒地)が良さそうです。

そのほかに考慮すべき点として、風通しのよさがあります。風通しがよいと病害を受けにくく、また、遅霜の心配がありますから、風通しがよければ霜の被害を受けにくいという利点もあります。

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こういう条件を満たした土地があるか…。これから徐々に探していきたいと思います。