Adagioな日々

ワインづくり奮闘記 そしてときどきピアノ

芽かき

本日の気象データ

天気:雨(未明大雨警報発令)9時ごろから曇り のち夕方晴れ 降水量:35.5 mm 
最低気温:3.3℃ 最高気温:16.0℃ 平均気温:9.6℃ 日照時間:124分 (原村アメダス

 

本日の作業は予定通り芽かきでした。3つの畑で作業しましたが、一本一本かがんでは隣の樹へ移るの繰り返しだったので、スクワットをした後のような筋肉痛に。

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ブドウ樹は、萌芽し伸長した新梢をすべて残しておくと、繁茂してしまい、十分な光合成ができなかったり、栄養が分散して充実した果実が得られなくなったりするリスクがあります。そのリスクを回避するため、適正な芽数にそろえる作業が芽かきです。早い段階(展葉7枚前後まで)での芽かきは、前年に貯蔵した樹の養分の浪費を防いで生育を促進する効果があるとのこと。ただし、芽かきを一斉に行うと残った新梢が徒長して花振るい(開花後短期間で多くの落花し、ひと房に数粒しか実がつかない、または房全体が落下すること)や果実の品質低下につながるリスクがあるため、『醸造用ブドウ栽培の手引き』では、芽かきの手順として3段階にわけて実施する旨説明されています。

1回目:新梢の長さが5㎝前後になるまでに大まかに副芽や不定芽を除去する。
2回目:1回目の10日後に、伸びすぎる芽や弱すぎる芽、遅れて萌芽したもの、副芽を主に除去し、やや多め(13~15本/m)に残す。
3回目:枝の伸長に合わせて適宜誘因を行いながら、枝の混みすぎる部分を間引いて仕上げる(10本/m)。

本日やった作業は、この1回目にあたります。

また、樹勢別の芽かきのポイントとして
樹勢の弱い樹:萌芽後なるべく早く芽かきを行う。展葉5~6枚ごろになっても新梢の伸長が弱い場合は、さらに芽かきを行い、残った芽の伸長を促す。
樹勢の中庸な樹:副梢や弱い芽を除去する程度とする。
樹勢の強い樹:萌芽してもすぐに芽かきを行わない。萌芽後、生育を見ながら徐々に芽かきを行う。芽数は多めにし、最終的には仕上げで調整する。

さらに、ギュイヨの場合の芽かきのポイントとして
・結果母枝の上方に向いて伸びている芽を残し、下向きの芽を優先的に取り除く。
・基本的に結果母枝1mにつき、新梢の数が8~12本になるように芽かきを行い、調整する。
・新梢の数が少ないと、残った新梢が徒長しやすいので、樹全体のバランスを見ながら行う。
・翌年の結果母枝となる予備枝に十分栄養がいきわたるように、予備枝以外の不定芽を早めに取り除いておく。
・結果母枝が間延びしている場合、翌々年の予備枝として不定芽を一本残すこともある。
とあります。

しかし、この教科書の記述では、どの芽を残してどの芽をかくのか、今一つわからないです(少なくとも私はわかりませんでした)。SICAVAC著『ブドウ樹の生理と剪定方法』には剪定方法の中に少しだけ芽かきについての記載があり、そちらの方が実際にやった作業に近い記述があります。

1回目作業の最大のポイントは、最初に翌年あるいは翌々年の樹の形をイメージして、どの芽を来年のバゲット候補にするのかを決めることです。これは経験がないとできませんが、樹の形がイメージできるとだいたいこの辺の芽から出たものをバゲットにしようという候補が決まります。バゲットは一番下の番線(フィル・ド・タイユ:fil de taille)のところに広げるので、候補の芽はこれよりも下で曲げたときに無理がかからなそうな位置にあるものになります。明朝、霜の可能性があるために今回は副芽はかかずに予備としてとっておきました。現時点ではどの芽がどのように成長するのか明確にはわからないため、候補は一つではなく複数(少し多めに)とし、基本的には候補の芽としたものよりも下にある絶対に使わない芽をかきました。教科書では下向きの芽を取り除くと書かれています。上を向いた芽を伸ばしたほうが樹の成長に無理がかからないので、最終的には下向きの芽はかかれてしまうのですが、やはり上向きの芽が霜などでダメになってしまうリスクを考え、予備として現時点では残しました。

芽かきの時期は、みね乃蔵では少し早めに行いますが、本やYouTube動画では展葉して葉が2~3枚になったら1回目を行うと説明されていることが多いです。ここは作り手の考え方もありますし、ヴィンヤードの環境や樹勢の強弱なども関係してくるので、一概にいつ、どのタイミングでと言えるものでもなさそうです。自分の畑が持てた暁には、どうやってブドウ樹を管理するか、こういう細かな作業のプロセスについても自分で考えて作業暦を作成していかなければならないです。