Adagioな日々

ワインづくり奮闘記 そしてときどきピアノ

武蔵ワイナリー圃場作業

本日の気象データ
天気:晴れのち曇り 降水量:0.0 mm 最低気温:8.1℃ 最高気温:24.4℃ 
平均気温: 16.4℃ 日照時間:731分 (原村アメダス

今日は千曲川ワインアカデミーの同期生が企画してくれた、武蔵ワイナリー圃場での誘引作業のお手伝いに参加しました。

武蔵ワイナリー、実は数年前に小川町を散策していたときに町の中心にある古民家をリフォームした直売所に行ったことがありました。ただ、その時は自分がワインを造ろうだなんて思ってもいなかったので、小川町にワイナリーがあるんだぐらいにしか思っていませんでした。

このワイナリー、実はとても希少価値の高いワイナリーだということが今になってわかりました。完全無農薬でブドウを栽培しているのです。自宅の庭に練習用にブドウ樹を植えて完全無農薬で栽培しようとしたら、みね乃蔵のあるじに「非常に難しいのでやめたほうが良い」と言われ思いとどまった経緯もあり、どうやって完全無農薬を実現しているのか、どうしても知りたくなりました。

しかし、答えは意外と簡単でした(もちろん、答えが簡単であることと栽培が簡単であることとはイコールではありません)。

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こんな感じで、棚栽培にして大きな雨よけをつけることで、雨がブドウ樹にかからないようになっているのです!防除のところでも書きましたが、ブドウの病気は風雨を介して感染することが多いため、雨にかからないことでかなり病気が防げるようです。

醸造用ブドウは垣根栽培をすることが多いです。垣根栽培用には「レインプロレクション」やマンズワインの志村氏が考案した「マンズレインカット」という雨よけがあります。また、昔からブドウと言えばカサをかぶっているイメージがあるように、かさかけによる方法もあります。レインプロテクションは、ブドウの実がなる部分(列)にビニールシートを張る方法です。マンズレインカットは、ビニールハウスの頭の部分だけがあるような形をしています。私は実際にこの「マンズレインカット」というのを見たことがないので、うだうだと私が説明するよりも、マンズレインカットを紹介しているブログがあったのでこちらを見ていただくのが早いと思います。

eenacountry.com

見た目は武蔵ワイナリーのものとよく似ています。が、垣根栽培の場合はブドウの実がなる場所が低い(一般的に地面から60㎝~80㎝)ので、上から雨が降ってこなくても下からの跳ね返りが全くないとは言えません。一方、武蔵ワイナリーでは棚栽培をしているので、ブドウの実はもちろん、葉やツルなどにも雨があたりにくいのです。

でも、雨よけがあると日照がさえぎられるのではないかという懸念があります。その問題を解決するために反射板を下に設置するのだそう。反射板を設置することによって日照が確保されるだけでなく、太陽光が乱反射することで害虫(特にブドウトリバ)の被害も軽減できるのだそうです。というのも、虫は太陽光に向かって飛ぶ習性があるので、乱反射すると方向感覚を失ってしまうらしいのです。

また、主な栽培品種が小公子とヤマ・ソービニオンというヤマブドウ系の品種であることも病気になりにくい理由だと思います。しかし、メルローシャルドネなどの欧州系品種もこの方法で完全無農薬で栽培していて病気がないというので、品種の問題だけではないということですね。

害虫に関しては、反射板は副次的な効果であって、それ以外の対策をもちろんされているとのことでした。例えば、コウモリガの対策としてブドウ樹の根元は頻繁に草刈りをして、コウモリガの被害に遭っていないかチェックするなど。早期発見できれば、コウモリガの幼虫を駆除することができます。

そのほか色々驚きの連続だったのでここに書ききれないですが、一つだけ最もびっくりしたことを一言だけ!一般的に醸造用ブドウ栽培は樹勢を弱くするようコントロールします。しかし、武蔵ワイナリーのあるじは、それはブドウ樹にとって自然なことではないので樹勢強めで栽培しています!と。それでも糖度25度を達成しているのです。樹勢コントロールに関しては、これから時間をかけて考えていきたいと思いました。

栽培方法やワインについて、こちらの武蔵ワイナリーのホームページに記載がありますので、ぜひ参考にしてください。

musashiwinery.com

最後に、お昼はお手伝いをしたみんなで武蔵とんナリーでとんかつをいただきました。とっても美味しかったです。